看護師が親の介護と転職を両立する働き方の選び方

看護師 転職して親の介護と両立 体験談

雪がちらつく12月の早朝、ナースステーションでコーヒーをすすりながらスマホを覗くと、「母、転倒。出血あり」と兄からのメッセージ。胸が締めつけられるような思いで、私はその日、患者さんに笑顔を向ける自信を失っていました。

私は東北の県立病院で勤務していた40代の看護師。夜勤、急患対応、委員会業務──やりがいと責任感に満ちた職場で走り続けてきました。けれど母が脳梗塞で倒れてから、生活はまるでパズルのピースが噛み合わなくなったかのよう。

“夜勤明けの風呂場で泣いた”あの日。

退院後の母には、毎朝の排泄介助と食事、そして週に2度の入浴支援が必要でした。最初のうちは訪問介護を頼り、勤務と両立を試みましたが──夜勤明けの朝7時、自分の睡眠時間もないまま、母の着替えと風呂場の準備をしていると、ふと鏡に映った自分の顔が誰かわからなかった。疲れきって、目の奥が痛かった。

「限界だな」──自分の中で何かが崩れる音がした瞬間でした。

転職活動は、私にとって“敗北”ではなく“戦略”だった。

「親の介護のために転職したい」──そう相談したとき、転職サービスの担当者は驚くほど真剣に私の話を聞いてくれました。

「大丈夫です。いま、同じ悩みを抱えている看護師さん、多いんですよ」

その言葉に、私は初めて涙が出ました。

私の条件は明確でした。「日勤のみ」「シフトの融通が利く」「できれば通勤30分以内」──こうした希望に合う求人をいくつも提示してくれた担当者の存在は、本当に心強かったです。

最終的に選んだのは、地元の内科クリニック。週4日、9時〜16時勤務。スタッフ同士の雰囲気も良く、院長先生も「家族のことを最優先で」と言ってくれる方でした。

「母の“ありがとう”が増えた」──転職の真の成果。

今は、朝ごはんを一緒に食べてから出勤し、夕方には笑顔で「ただいま」と言える生活。母の表情もやわらぎ、「最近、あなた楽しそうね」と言ってくれるようになりました。

【転職して良かったこと】
・夜勤がなくなり、体調が安定
・介護と両立できることで、罪悪感が減った
・自分の時間も少し持てるように

【苦労したこと】
・給与は減った(ボーナスなし)
・看護師としての「チャレンジ」は少なくなった
・周囲に「もったいない」と言われることも

でも、私は思います。キャリアより、今は“母の笑顔”を守ることが私の人生の最優先だと。

あなたも「誰かを守る選択肢」を持っていい。

看護師としての誇りを捨てたわけではありません。私はただ、人生のある時期に「看護の形」を変えたのです。

介護と仕事の両立に悩んでいる方へ。自分を責めないでください。働き方を変えることは、逃げでも妥協でもなく、“選択”です。

転職サービスを使えば、一人で悩むよりずっと早く、希望に近い職場に出会えます。まずは、誰かに相談してみることから。自分と、大切な誰かの笑顔を守るために。

看護師 転職して親の介護と両立

親の介護と看護師の仕事を両立するには

介護と仕事の両立はなぜ難しいのか

夜勤やオンコールが介護と相性が悪い理由

看護師の勤務体系は不規則になりがちです。夜勤やオンコール業務があると、生活リズムが乱れやすく、親の介護が必要な時間帯とバッティングしてしまうことも少なくありません。特に、夜中に急変した高齢の親を病院に連れて行く必要がある場面では、勤務中で対応できないことが大きなストレスになります。

介護休暇取得のハードルと課題

「介護休暇」という制度は存在していても、実際に取得するのは簡単ではありません。職場の理解が得られない、慢性的な人手不足で申し出にくい、収入減が不安──などの理由から、制度があっても使えない状況が生まれがちです。看護師は「周囲に迷惑をかけたくない」という責任感から、無理をしてしまう傾向も強く、心身の限界を迎える前に対策が必要です。

看護師が介護と両立しやすい職場とは

日勤常勤のメリットと注意点

介護と仕事を両立するうえで、日勤常勤の職場は非常に相性が良いです。朝から夕方までの勤務が中心となるため、介護の時間帯と被りにくく、生活のリズムも整いやすいのが特長です。ただし、勤務時間の拘束がある以上、急な呼び出しに対応しにくいという面もあるため、家族や訪問介護サービスなどとの連携体制が不可欠です。

訪問看護や介護施設勤務の実情

訪問看護ステーションや介護施設(特別養護老人ホーム、老健など)への転職も、両立を目指す看護師にとっては魅力的な選択肢です。多くの職場ではオンコールの有無を選べるほか、日勤中心の勤務も多く、比較的柔軟なシフト調整が可能です。一方で、給与水準や仕事内容が病棟勤務と異なるため、事前に情報を集めて自分に合った働き方を検討することが大切です。

転職先選びのポイントと注意点

介護と両立できる職場選びのコツ

勤務時間・シフト体制を最優先に考える

介護との両立を考えるとき、まず注目すべきは勤務時間とシフト体制です。日勤のみ、固定シフト、週4勤務など、あらかじめ介護に支障が出ない条件で働ける職場を探すのが基本です。特に早朝や夜間のケアが必要な場合は、勤務の前後に時間を確保できるスケジュールが理想的。求人票だけでは分かりにくい部分もあるため、面接時に具体的な勤務パターンや融通の効き方を確認しましょう。

介護理解のある上司や同僚の存在

どんなに制度や条件が整っていても、実際に働く職場の「雰囲気」はとても重要です。介護に理解のある上司や同僚がいれば、突発的な休みや時間調整にも柔軟に対応してくれる可能性が高まります。転職サイトの口コミや職場見学、面接時の雰囲気から、職場の風通しや支え合いの文化があるかを見極めることがポイントです。

転職後に後悔しないために確認したいこと

試用期間中の働き方と評価基準

新しい職場に入ってすぐは「試用期間」が設けられることが多く、この間にどのように働くかは今後の立場にも影響を与えます。たとえ介護との両立が目的であっても、職場に過度な負担をかけてしまうと「不安定な人材」と見られてしまう可能性も。事前に「試用期間中にどんな働き方が期待されているのか」「評価はどのように決まるのか」を確認し、無理のない範囲で貢献できる準備をしておきましょう。

介護と仕事のバランスに悩んだときの相談窓口

介護と仕事を両立する中で、「本当にこのままでいいのか」と悩む瞬間は必ず訪れます。そんなとき、社内に相談できる窓口があるかどうかも大きな支えになります。人事担当者や看護師長、または外部の相談窓口(産業カウンセラーや地域包括支援センターなど)とつながっておくことで、孤立せずに対処することが可能になります。悩みを抱え込まない体制を、転職先で持てるかどうかも重要な判断材料です。

両立を支える制度とサポートを活用しよう

両立支援助成金などの活用法

企業が助成金を受けられる条件とは

介護と仕事を両立させるために、厚生労働省が推進している「両立支援助成金」は、看護師個人ではなく「企業」に対する支援制度です。たとえば、介護休業制度や短時間勤務制度を整備し、実際に従業員がそれを活用した場合、企業に対して助成金が支給されます。この制度を利用している職場は、両立に理解があると判断するひとつの目安になります。

看護師側が把握しておきたい支援内容

看護師自身も、「介護休業(通算93日まで)」「介護休暇(年5日まで)」「時短勤務(3年まで)」など、法律で認められた制度について知っておくことが大切です。特に、勤務中に介護サービスの手配が必要な場合や、突発的なトラブルが起きた際、これらの制度を正しく理解していれば、焦らず対応できます。転職時には、「実際に制度が使われている職場かどうか」も確認することをおすすめします。

公的な介護支援サービスを味方にする

ケアマネジャー・訪問サービスの連携活用

看護師としての知識があっても、親の介護は想像以上に大変です。そこで活躍するのが、ケアマネジャーをはじめとした専門職との連携です。訪問介護、訪問入浴、デイサービスなど、介護保険で利用できるサービスを最大限活用し、介護負担を分散させましょう。介護の全てを自分一人で抱え込まず、プロに任せる部分と自分が担う部分のバランスを取ることが、両立のカギです。

地域包括支援センターの役割と相談方法

地域包括支援センターは、介護・医療・福祉の総合相談窓口として全国に設置されている公的機関です。介護保険の申請やケアプラン作成の手続き支援、緊急時の対応など、看護師家庭にとっても頼れる存在です。自分が住んでいる自治体のセンターに電話一本で相談できるので、「何から始めていいか分からない」と感じたら、まずはここに連絡してみましょう。無料で利用でき、情報収集にも最適です。

介護と仕事を両立した看護師の体験談

病棟から訪問看護に転職したAさんの例

Aさん(50代・女性)は、急性期病棟で働いていましたが、父親の要介護認定をきっかけに転職を決意。「夜勤と介護の両立に限界を感じた」と話します。転職先に選んだのは訪問看護ステーション。日中だけの勤務で、残業も少なく、家庭との両立がしやすくなったとのこと。「利用者さんとの関わり方が穏やかで、自分自身のメンタルも安定しました」と、今の働き方に満足している様子です。

介護施設に転職し土日休みを得たBさんの声

Bさん(40代・男性)は、親の認知症が進行したことを機に、夜勤ありの総合病院から、地域の特別養護老人ホームへと転職しました。「夜勤がないだけで、生活の質がまるで変わった」と語ります。土日休みを確保できることで、定期的な通院や買い物の同行も無理なく行えるようになり、「親の笑顔を見る時間が増えたのが一番の収穫」と話します。給与は減ったものの、「心の安定はお金では買えない」と実感しているそうです。

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