「毎朝6時起き、満員電車を乗り継ぎ、夜勤明けはヘロヘロのまま帰宅…。休日も体力を回復するだけで終わってしまう――。」
これは、看護師として都心の大病院に勤めていた私が、30代に差し掛かった頃に感じていた日常です。やりがいはあるけれど、心も体も限界に近づいている。そんな中でふと頭をよぎったのが、「車通勤できる職場に転職したい」という思いでした。
転機となったのは、ある夜勤明け。電車の中で立ちっぱなしのまま、ふと涙が出そうになったあの瞬間でした。「これがいつまで続くんだろう…」。その足で転職サイトに登録し、「車通勤OK」「通勤30分以内」「駐車場無料」の条件で新たな職場探しを始めたのです。
最初は「そんな都合のいい職場あるの？」と疑っていた私。でも紹介されたのは、自宅から車で25分の郊外の一般病院。面接時に駐車場を見せてもらい、看護部長から「スタッフはほとんど車通勤ですよ」と言われた瞬間、迷いは吹き飛びました。
実際に転職してからというもの、朝は1時間ゆっくり寝られるようになり、夜勤明けもそのまま自宅へ直帰。雨の日は傘をさす必要もなく、子どもに「いってらっしゃい」と声をかけられるようになったのです。夫からも「最近、明るくなったよね」と言われるほど、生活が穏やかに変わっていきました。
もちろん、ガソリン代や車の維持費などの出費はありますし、渋滞に巻き込まれることもあります。それでも、毎朝の満員電車のストレスから解放されたことを思えば、その代償は十分に受け入れられるものでした。
以前の職場は大規模でキャリアアップには良い環境でしたが、人間関係は淡々としていて、誰かが辞めても「またか」といった空気が流れていました。今の職場では名前で呼び合い、「おつかれさま」と声をかけ合う温かさがあります。そんな環境の変化が、私の看護師人生を救ってくれたのです。
「職場を変えるのは勇気がいること」。でも、通勤手段を見直したことで、私の生活も、心の持ちようも、すっかり変わりました。車通勤ができる職場への転職は、ただの利便性ではなく、看護師として長く健やかに働くための現実的な選択肢です。
転職して車通勤を始めたら生活が変わった
通勤時間の短縮で心身にゆとりが生まれる
公共交通から車通勤へ切り替えて感じた違い
通勤手段を電車から車に変えたことで、まず実感したのは「朝の余裕」です。これまでは満員電車に揺られ、駅の階段を駆け上がる毎日。出勤前から疲れてしまい、笑顔で患者さんと向き合う余裕もありませんでした。
それが、車通勤に切り替えたことで、家を出る時間は30分も遅くなり、車内では自分の好きな音楽を流しながらリラックスして移動。たとえ渋滞に遭遇しても、電車の混雑とはまったく違うストレスの少なさに驚きました。
朝のラッシュや夜勤明けの負担が大幅軽減
とくに効果を感じたのは夜勤明けです。これまでは疲労困憊のなか、立ちっぱなしの電車に揺られて帰宅していましたが、車通勤なら病院の駐車場からそのまま自宅まで一直線。誰にも気を使わず、ゆったりと帰れるこの時間が、本当に救いでした。
また、雨や猛暑の日などでも、服が濡れる心配もなく、マスクで蒸れることも減少。気候や時間帯に左右されず、自分のペースで通勤できるようになったことで、体力的にも精神的にもかなりのゆとりが生まれました。
家族との時間や趣味の時間が確保しやすくなった
時間の自由度が高まることで実感するQOLの向上
車通勤に変えたことで、日常に「余白」が生まれました。朝は子どもを見送ることができるようになり、夜勤明けでも夕方には元気に夕食の準備をする余裕が生まれました。以前は、帰宅後は寝落ちしてばかりだったので、この変化には自分でも驚いています。
また、移動時間中はラジオやオーディオブックを聞いたり、自分だけの“ひとり時間”として活用できるのも大きなメリット。仕事とプライベートの切り替えがスムーズになり、心のオンオフがしっかりできるようになりました。
移動中も一人時間が持てることでリラックス効果も
同僚との何気ないおしゃべりも楽しいですが、毎日続くと少し気を使ってしまうこともありますよね。車通勤なら、移動中は完全に一人きりの空間。誰にも気を遣わず、自分のペースで過ごせるこの時間が、1日の中で意外と大切な“癒しの時間”になっています。
こうした些細な変化の積み重ねが、私の生活を大きく変えてくれました。看護師として長く働くためにも、この「通勤スタイルの見直し」は、本当に価値ある選択だったと実感しています。
看護師が車通勤できる職場の探し方
求人検索で注目すべき「車通勤可」の条件とは
駐車場の有無やガソリン代補助もチェック
車通勤を前提に職場を探す場合、まず注目すべきは「駐車場の有無」と「ガソリン代の補助」です。求人票には「車通勤可」とだけ書かれていても、実際には駐車場が遠かったり、有料で利用しにくいケースもあるので注意が必要です。
おすすめは、転職エージェントを活用して「駐車場無料」「ガソリン代支給」「通勤時間〇分以内」など、具体的な条件を絞って相談すること。細かい条件でも、意外と該当する職場は多く存在します。
地方の施設ほど車通勤に対応している傾向
都市部の病院は公共交通機関でのアクセスを前提としていることが多いため、車通勤ができても駐車スペースが限られている場合があります。その一方、郊外や地方の施設は「ほぼ全員が車通勤」という職場も珍しくありません。
特に、郊外の中規模病院や介護施設、クリニックなどは「マイカー通勤歓迎」「職員専用駐車場あり」などの条件が整っていることが多く、勤務後に買い物や子どもの送迎がしやすい環境も魅力です。
実際に車通勤を始めた看護師のリアルな声
「もっと早く転職すればよかった」との声多数
転職して車通勤を始めた看護師の声としてよく聞かれるのが、「こんなにラクなら、もっと早く転職すればよかった」という実感です。時間にも心にも余裕ができたことで、仕事のパフォーマンスまで向上したという方も多くいます。
特に、子育て中の方や夜勤のある勤務体制の方からは、「家族との時間が確保できるようになった」「夜勤明けがラクになった」といったポジティブな反応が目立ちます。
維持費や渋滞もあるが、それ以上に得られるメリット
もちろん、車通勤には維持費（ガソリン代・車検・保険など）や、時間帯によっては渋滞のリスクもあります。しかし、多くの人が口を揃えて言うのは「それ以上に、精神的なストレスが減った」という点です。
電車の遅延に振り回されない、天候に左右されない、出勤前に寄り道ができる――。こうした“小さな自由”の積み重ねが、日々の働きやすさに直結しているのです。
車通勤の落とし穴とその対策
ガソリン代・維持費といったコスト面の現実
月々の費用と公共交通との比較
車通勤を始めてまず感じるのが「意外と出費がかさむ」という点です。ガソリン代はもちろん、オイル交換やタイヤ交換などのメンテナンス費、さらには任意保険や車検なども含めると、月に1〜2万円ほどのコストになることもあります。
一方で、電車通勤では定期代が支給されるケースが多いため、純粋な比較では車通勤のほうが高くつくことも。ただし、時間の節約やストレス軽減という“見えない価値”を含めて考えると、十分に見合った支出と考える人が多いです。
節約術や職場による補助制度の活用法
コスト面の負担を軽減するためには、職場の補助制度をしっかり確認することが重要です。たとえば「ガソリン代一部支給」「駐車場無料」「車通勤手当あり」といった制度が整っている職場も増えています。
また、通勤距離が短ければそれだけガソリン代も節約可能。自宅から30分以内で通える職場を選ぶことで、費用と時間の両面で効率化できます。車自体もコンパクトカーや燃費の良いモデルにするなど、選び方次第で支出は大きく変わります。
安全運転と健康管理への配慮が必須
夜勤明けの運転リスクとその対策
夜勤明けの運転は、看護師にとって最も注意すべきポイントです。睡眠不足による判断力の低下や、長時間の勤務による疲労で、事故のリスクが高まる時間帯でもあります。
対策としては、勤務終了後すぐに運転せず、仮眠を取ること。あるいは、シフト調整で負担の少ない時間帯に退勤できるよう職場と相談することも有効です。また、自動ブレーキ付きの車や運転サポート機能を活用することで、安全性はさらに向上します。
眠気対策や職場の配慮で安全を確保
実際に筆者の職場では、夜勤明けに一定時間の休憩スペースを設けており、仮眠をしてから帰宅するスタッフも多くいます。こうした職場の理解と配慮が、安全な車通勤を支える重要な要素です。
また、コーヒーやガムなどのカフェイン摂取による眠気対策、こまめな換気や窓を開けて風を感じるといった工夫も効果的。自分の体調をしっかり把握し、「今日は危ないかも」と思った日は無理せず休むことが、安全運転には欠かせません。
