看護師が転職で見つけた在宅医療のリアルと可能性

看護師 転職して在宅医療の現場を知った 体験談

「もう限界かもしれない」

これは、病院勤務7年目、夜勤明けの朝にふと思った言葉でした。

私は現在、訪問看護師として在宅医療の現場で働いています。30代半ば、子育てと仕事を両立させながらの日々。以前は急性期病院でバリバリ働いていた私が、なぜ転職し、今の職場で「本当にこの仕事ができてよかった」と心から思えるようになったのか——。

今回は、看護師として転職を考えているあなたに、私のリアルな体験を正直にお伝えします。

看護師 転職して在宅医療の現場を知った

在宅医療への転職、まず知っておきたいこと

病棟看護との違いとは?在宅医療の基本を解説

訪問看護と訪問診療の違い

在宅医療に関わる看護師の仕事には、「訪問看護」と「訪問診療」があります。訪問看護は看護師が単独で患者宅を訪問し、処置やバイタルチェック、服薬管理、生活指導などを行います。訪問診療は医師が同行し、看護師は診察の補助や記録、診療器具の管理などを担う形です。

どちらも在宅での医療を支える重要な役割ですが、主体性の強さや求められる判断力のレベルには違いがあります。訪問看護は一人で判断し対応する場面も多く、より自律的なスキルが求められます。

対象者となる病気、年齢、ケア内容

在宅医療の対象者は高齢者だけではありません。末期がんやALS、小児医療、精神疾患など、さまざまな疾患・ライフステージの方が含まれます。看取り期にある方や、医療的ケア児、重度障害者など、その人の人生に深く関わる機会も多いのが特徴です。

ケア内容も多岐にわたり、創処置、吸引、点滴管理、終末期ケア、介護家族への支援などがあります。病棟とは異なる視点で「その人らしい生活を支える看護」を実践する場です。

看護師が在宅医療を選ぶ理由とは?

ワークライフバランスの5年前が分かれ道

急性期病棟では夜勤や時間外勤務が常態化し、体力的にも精神的にも疲弊してしまう方も少なくありません。私自身も夜勤明けに保育園へ子どもを迎えに行きながら、「この生活、いつまで続くのかな」と感じていました。

在宅医療の多くは日勤中心。訪問時間が決まっており、時間外対応も事業所によって制限されています。子育て世代や家庭との両立を図りたい方にとって、柔軟な働き方を実現しやすい環境です。

やりがい、人との縁を大切にできる場所

病院では「業務の効率」が優先される場面も多く、患者さん一人ひとりとじっくり向き合う時間は限られがちです。しかし在宅医療では、毎回の訪問が「その人と1対1で関わる時間」。

患者さんだけでなく、そのご家族とも信頼関係を築きながら、生活を共に支える存在になれる。そんな温かな繋がりに、看護師としての原点を感じる方も多いはずです。

転職後に見えてきた在宅医療の現場

一日のスケジュールと業務内容

訪問準備、移動、ケアの流れ

訪問看護の1日は、朝のミーティングから始まります。その日の訪問ルートや患者情報の確認を行い、必要物品を持って出発。車や自転車、時には公共交通機関を利用して、1日に4〜6件の訪問を行います。

訪問先ではバイタル測定、処置、服薬確認、家族との情報共有などを行い、記録もその場で入力するケースがほとんど。訪問が終わったら帰社し、再度記録の整理や報告書の作成などを行います。

医師や多職種スタッフとの連携

在宅医療は、看護師単独では成り立ちません。訪問診療医、薬剤師、ケアマネージャー、リハビリスタッフ、訪問ヘルパーなど多職種と密に連携します。

情報共有は電話やICTツールを活用し、必要に応じてカンファレンスを実施。チームで「その人らしい生活」を支えるという意識が強く、一体感を感じながら働ける環境が魅力です。

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