看護師が終末期看護に転職して得たやりがいと向き合い方

看護師 転職して終末期看護に向き合えた 体験談

「看護師として、何をしているんだろう…」
そんなふうに感じたことはありませんか?

急性期病棟で9年目のある日、夜勤明けの帰り道。
カフェで一人、涙を流しながら上司の愚痴をLINEしていた私がいました。

「また命は救えた。でも、私は誰を看たんだろう?」
命を繋いでいるはずなのに、どこか虚しさが拭えず、看護師としての自分を見失いかけていたのです。

そんな時、たまたま登録した転職サービスの担当者から投げかけられた言葉——
「終末期医療に興味ありませんか?」
その瞬間、胸がざわついたのを今でも覚えています。

正直、不安だらけでした。
「ホスピスって精神的にきつそう」「手技が減ってキャリアに影響あるかも」
そんな本音をぶつけると、「迷ってる人こそ見学してみてほしい」と背中を押され、紹介された施設を訪ねました。

そこには、医療というより“人と人がつながっている空気”がありました。
看護師さんが、患者さんの手を握って一緒に夕焼けを見ているその姿に、思わず涙がこぼれたんです。

「ああ、これが看護かもしれない」
そう思ったあの日から、私の“終末期看護”が始まりました。

最初に受け持ったのは、ALSの40代女性。
手も声も動かない彼女が、まばたきだけで私に伝えてくれた言葉は、

「私は、今日を生きたい」

その日から、私は彼女のまばたきを記録し、言葉にして伝える毎日を過ごしました。
旅立ちの前日、彼女が最後に伝えてくれたのは、

「ありがとう あなたが私の声だった」

その瞬間、私は心から“看護師としての使命”を感じたのです。

もちろん、終末期看護の現場はきれいごとばかりではありません。
大切な患者さんを見送った直後、ナースステーションでそっと泣いた日もあります。

それでも今、私は「人と向き合っている」と実感できるこの仕事を、誇りに思っています。

「誰かの最期に関われる看護師」は、決して誰にでもできるわけではありません。
けれど、誰かの“一番つらい時間”にそばにいる力こそ、看護師として何よりも尊いのです。

もしあなたが「看護している実感がない」と感じているのなら、終末期看護という選択肢を、一度考えてみてください。
技術より、言葉や気持ちを大切にできる人にこそ、向いている世界かもしれません。

私自身、転職サポートを使って初めてその可能性に気づけました。
迷っているあなたにこそ、一歩を踏み出してほしい。そう思っています。

看護師 転職して終末期看護に向き合えた

看護師が終末期看護へ転職する理由とは?

求めるやりがいと看護観の変化

終末期看護へ転職する看護師の多くが口にするのは、「やりがいを感じたかった」「本来の看護がしたい」という思いです。

急性期や回復期で働く中で、スピードと効率を求められる医療現場に違和感を覚え、「私は誰を看ているんだろう?」と悩む人も少なくありません。

終末期看護では、患者さん一人ひとりと深く向き合い、「その人らしく生きる最期」を支えることが主な役割になります。
だからこそ、言葉や表情、ちょっとした変化に気づける看護師の存在がとても大きな意味を持つのです。

「目の前の患者さんに寄り添う看護がしたい」と思った時、それを実現できるのが終末期看護の現場なのです。

終末期看護の現場とはどんな職場か?

終末期看護の現場といえば、ホスピスや緩和ケア病棟、在宅での訪問看護などが代表的です。
どの職場にも共通しているのは、「治す」ことよりも「その人らしく過ごすこと」を支えるケアを大切にしている点です。

例えば、ホスピスでは病院のような機械音に囲まれた環境ではなく、温かみのある空間づくりが重視されます。
患者さんの希望に寄り添いながら、痛みや不安をやわらげ、残された時間をどう生きるかに焦点を当てているのです。

訪問看護では、患者さんの自宅が主なケアの場。
生活に溶け込みながら、ご家族とともに最期の時間をサポートする役割を担います。

こうした現場で求められるのは、高度な医療技術よりも、コミュニケーション力と「聴く姿勢」。
「何が患者さんにとっての幸せなのか」を問い続ける力が大切です。

患者と家族の「最後の時間」を支える重み

終末期看護では、患者さんだけでなく、その家族の心にも寄り添う必要があります。
特に「最期の時間」をどう過ごすかは、人生の大きな節目であり、看護師として深い責任を感じる場面です。

たとえば、「家で最期を迎えたい」という患者さんの希望があったとき。
訪問看護では、医師やケアマネジャーと連携を取りながら、家族が安心して看取れるような環境を整えます。

また、家族が不安や悲しみで押しつぶされそうなときは、ただそばにいるだけでも大きな支えになることがあります。
言葉がなくても、沈黙の中に“安心”を届けること。それも終末期看護師の大切な役割です。

「亡くなる直前まで、患者さんらしく過ごせた」
そんなふうに家族に言ってもらえたとき、私たちの看護は確かに届いたのだと実感できます。

終末期看護のやりがいと向き合い方

終末期看護のやりがいは、目の前の“いのち”と真正面から向き合えることにあります。
病気を「治す」ことはできなくても、「苦しみを和らげる」「想いをくみ取る」といった看護の本質に全力を注げるのです。

ある日、夕方のラウンド中。
ひとりの患者さんが、ふと手を握って「ここにいてくれるだけで安心する」と言ってくれたことがありました。

その瞬間、「技術じゃない、気持ちが届く看護がある」と心から実感しました。

もちろん、毎日が感動の連続というわけではありません。
患者さんを見送るたびに心が痛みますし、涙をこらえながら仕事を続ける日もあります。

それでも、「看護師としてここにいてよかった」と思える瞬間があるから続けられる——
終末期看護の現場には、そんな“静かだけれど確かなやりがい”が詰まっているのです。

終末期看護への転職で失敗しないための準備

必要なスキルと心構えとは

終末期看護に転職する際、「自分に向いているか不安」「特別な資格が必要なのでは?」と感じる方も多いかもしれません。

実際、緩和ケア認定看護師や終末期ケア専門士などの資格はありますが、必須ではありません。
現場でまず求められるのは、技術よりも“人と向き合う姿勢”です。

たとえば、「患者さんの気持ちを最後まで尊重したい」「その人らしい時間を支えたい」
——そんな想いを持っている方は、終末期看護に向いている可能性が高いです。

また、医療的スキルもゼロではありません。
疼痛コントロールや在宅酸素、褥瘡管理など、基礎的な知識や判断力は必要です。

転職前に終末期ケアの研修や講座に参加しておくと、自信を持って現場に入れます。
「覚悟」ではなく、「準備」があれば、不安はぐっと減らせます。

自分に合った職場を見つけるポイント

終末期看護の現場は、ホスピス・緩和ケア病棟・訪問看護ステーションなど様々。
それぞれに雰囲気や求められる役割が異なるため、「自分に合う場所」を見極めることが大切です。

見学や面接の際に注目したいポイントは、以下の3つです。

  • 1. 看護師同士のコミュニケーション
    チーム医療が基本となる終末期ケアでは、スタッフ間の連携がスムーズかどうかが働きやすさに直結します。
  • 2. 患者との関わり方
    「業務」中心か「ケア」中心か。看取りの時間をどう支えているかで、職場のスタンスが見えてきます。
  • 3. 教育・サポート体制
    終末期未経験でも丁寧なOJTや外部研修支援があるかどうかは、安心して働くうえで重要なポイントです。

転職エージェントや経験者の声を参考に、見学を経て“肌に合う職場”を選ぶことで、入職後のミスマッチを防げます。

終末期看護への転職で得られる未来

自分の看護観を深められる

終末期看護に携わると、これまでの「看護はこうあるべき」という固定観念が大きく揺さぶられます。
なぜなら、“治す”ではなく、“支える”看護が求められるからです。

患者さんの価値観や人生観と向き合う中で、「本当に大切なことって何だろう?」と自分自身に問いかける機会が増えます。

ある看護師は、終末期の現場で「答えのないケア」に悩みながらも、
「私は“正しさ”よりも“その人らしさ”を大事にしたい」と気づき、看護師としての軸を再確認したそうです。

このように、終末期看護では“看護観の深化”が自然と促されます。
迷ったときに立ち返れる、自分だけの看護の軸がきっと見つかるはずです。

チーム医療と患者中心のケアが実現できる

終末期看護では、医師・薬剤師・ソーシャルワーカー・ケアマネジャー・ボランティアなど、さまざまな職種が連携する「チーム医療」が重要な基盤になります。

その中で看護師は、患者さんとご家族にもっとも近い存在として、「日々の変化」や「小さな声」をチームに届ける役割を担います。

たとえば、痛みの訴えを医師に的確に伝え、薬剤師と調整を行い、最適な疼痛管理が実現する——
そんな一つひとつの連携が、患者さんの穏やかな日常を支えているのです。

さらに、終末期ケアは「患者中心」が徹底されています。
「今日は何をして過ごしたいか」「どこで誰といたいか」——その希望を叶えることがケアの目的なのです。

このような環境で働くことは、看護師としてのやりがいだけでなく、人としての成長にもつながります。

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